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2017年3月18日 (土)

読書・木戸幸一日記

3月18日

先に読んだ東京裁判(極東国際軍事裁判)は、木戸幸一の日記を証拠に裁判が進められたとあり、日記が気になっていた。木戸幸一は最後の内大臣でありその印象としては、戦争中 木戸が重臣たちを陛下への拝謁を阻止したとか、内大臣が陛下を動かしているとか、東條英機を推薦したとかで悪い印象を持っていたけれども、読んでみると全く違っていた。こんな事あんな事と時代の流れを知ることができた。

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木戸幸一日記は重要文書として図書館の倉庫に保管されていて持ち出しができないため、毎日通って読んだ。原本は昭和5年から昭和20年までの記録を毛筆で書かれているものを上、下巻にまとめている。カタカナをひらがなに替えただけの全文を記載している。「せざるべからざることなりと思う故」などの意味をしばし考えたり、メモを取りながら読むとずいぶん日にちがかかったけれども、一番気になるところは開戦の頃と終戦の頃のことがわかり、東條を推薦したときの心境や、終戦には必死の思いで軍部の各大臣を説得する様子がわかった。

御前会議の様子は一人一人の言葉を芝居の台本のように、こと細やかに記録している。強烈な印象は木戸が終戦工作をしているとき、8月13日阿南陸軍大臣が内大臣室を訪問したときのやりとりに 木戸が和平に向けた話を切り出すと、阿南は「本土決戦をするつもりだ」と木戸の意見に応じなかったので、木戸は「もし敵に上陸されて三種の神器を取られ、伊勢神宮が荒らされ歴代朝廷の御物がボストン博物館に陳列されたらどうするつもりか」と迫ると阿南は沈黙し「あなたの考えには大体賛成だ」と言って出た。そして8月15日阿南は自決した。

木戸幸一は、維新の三傑木戸孝允(桂小五郎)の孫にあたる。父(孝正)は東宮侍従長だった。木戸と近衛文麿の関係は学習院時代からの友人で共に京大に進みゴルフ仲間でもあったし、近衛の推薦で牧野伸顕内大臣の秘書官長、宮内省宗秩寮総裁を兼任するが、近衛内閣のとき文部、厚生大臣を歴任している。昭和15年西園寺公望、牧野の推薦で内大臣を終戦まで続け最後の内大臣となる。

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木戸は学生時代から日記を書いていた。

昭和5年から20年までの木戸幸一日記の原本。

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毛筆で書かれている。

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東京裁判期は、昭和20年12月A級戦犯容疑で巣鴨に収監されてから、東京裁判終了までの日記を記録し、スガモプリズンの様子や裁判の進行状況を記録している。木戸幸一日記を提供した動機は天皇陛下を裁判に出廷させないことにあり、平和主義者を証明するためでもあったが、終戦の後証拠書類は焼却されていたため、木戸幸一日記が唯一の証拠になり軍部から恨まれていた。

30回に及ぶ取り調べが行われ、日記をもとに詳しく聞かれている。法廷で前満洲皇帝溥儀が証人台に立ち、溥儀に対する尋問で「平気で虚言を吐く態度は近年にない不愉快であった」と書いている。各被告の起訴状証拠提出に木戸の日記がたくさん出されている。

昭和23年4月に審理が終わり休廷 判決を待つのみとなり、その間の不安の様子がわかる。新約聖書や仏典などを何度も読んだり、トランプで勝負ごとをしたりラジオが毎日聞けるようになり音楽、ニュースを聞くことがうれしいなど。11月12日判決が言い渡たされ、死刑7名、木戸を含め16名が終身禁固刑、東郷20年、重光8年となる。木戸は「すべての戦いは終わった 気持ちが朗らかになった」。12月23日に死刑が執行された。わざとなのか この日は皇太子(現天皇陛下)の誕生日であった。

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スガモプリズンで書かれた日記大学ノートにペン書き。

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便箋で鉛筆書きになる。

木戸幸一は10年後体調不良で仮釈放になり、大磯で暮らし昭和52年88歳で生涯を閉じた。その間天皇陛下が葉山に静養されるときは時々御用邸に訪問されていたという。

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昨日スガモプリズンの跡地に行ってみた今は東池袋中央公園となっている。

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左の方に慰霊碑が見える。

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何人かの写真と花が手向けられている。

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右の方にはサンシャイン60ビル(1978年竣工)1985年まで東洋一の高さを誇っていた。周辺のサンシャインシティ、サンシャイン通りなどは若い人でごった返し拘置所跡とは思えないほどであった。

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